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ピンクの扉
第5章 PTA会長
自慢のピンクのティーカップに、
ダージリンの紅茶を注ぎ、
お手製クッキーを添えてテーブルに置いた。

「あ、どうぞ、おかまいなく・・・」

PTAの役員への勧誘かしら?

私、ああいうのって
あまり好きじゃないのよねえ。


あの・・・それで、
どういったご用件なのでしょう?

「・・・いえね、
先日、お宅の前を通りかかったら・・・
見てはいけないものを見てしまいましてね…」

えっ?まさかセールスマンの1件?

お隣のご主人だけじゃなく、
PTAの会長さんにも見られていた? 

「率直に申し上げます。
本校の生徒を惑わさないでいただきたいのです」

あ、佐藤くんのことか…

あのとき、ここであの子にキスしているところを見られちゃったのね。
あちゃ~・・・またやっちゃった。

「心当たりありって顔ね」
そういって彼女はニヤリと笑った。

あ、でもどうして彼が
生徒だとお気づきになられたのですか?
リビングの窓から見えていたとしても、
彼は、あの日私服だったんですよ?

「そりゃあ、わかるわよ。
だって・・・息子だもの」

ええ!あなたが彼のお母さん!?
じゃあ、由佳と佐藤くんが結婚したら、
あなたとは親戚関係に?

「そういうことになりますわね。・・・
その前に・・・
あなたと、もっと親しくなりたいわ」

こっちへいらっしゃいと、
彼女は桃子の手を取り、
なかば強引に隣に座らせた。

「うふふ・・・あなた、かわいいわ」

え?いや、あの・・・
私そっちの気(け)はないんですけどぉ・・・

あ、あ、あ・・・彼女の顔が近づいてくる。
半開きの唇が、私の唇を奪おうとしている。

い、いけません!奥様!

彼女を止めようと、出した両手が、
あろうことか彼女の豊かな双丘の胸を揉む形となってしまった。

「はあ~ん・・・」

甘い吐息が鼻腔に侵入してくる。
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