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ピンクの扉
第8章 夫の愛人?

「あ…え、えっと…」

いやだわ部屋を間違えたのかしら…


桃子は慌てて
部屋番号のプレートを再確認してみた。

間違いない。304号室だ。

では、この女性は一体…


「もしかして智一にご用かしら?」

微笑を、浮かべながら
女は悪びれた様子もなくそう告げた。

『と、智一?』

何なのこの女は!

人の亭主を呼び捨てにするなんて…


はっ!まさか愛人?

そんな?…夫に限ってそんなバカなこと…


「智一は今留守なんですよ~。
あの…どのようなご用件でしょうか?」

何度も夫の名を呼び捨てにする女に
フツフツと怒りがこみ上げてきた!


「あ、あなた一体誰?どうしてこの部屋に?」


「まあ、いやだわ。
人にモノを尋ねるんなら
まずそちらが名乗りなさいよ!」

女の表情から微笑が消えた。


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