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第19章 俺と杏奈の1か月　蒼汰SIDE

｢お前の話、俺と美咲に置き換えて聞いてたけど、
…お前の苦悩も分かる。分かるけど…
両思いになったのにそんな事するって…
女からしたらかなり最悪じゃね？
俺からしても最悪なんだが。何でそうなんの。
せっかく手に入れた女を何で手放すんだよ｣


｢…っ、手放してんじゃなくて、距離置いて…｣


｢例えだけど。例えだとして、
俺がお前のその行動をする時は…別れたい時だな。
その女に飽きて他の女抱きたいから、
とりあえず最後にたっぷり抱いといて、
待たせるフリして、期待させといて突き落とす。
…うわ最悪。人間としてありえん｣


｢え、杏奈…そう思ってしまうって事？｣


｢知らん。ただ…いい風には考えねぇだろうな。
女の気持ちなんて知らねぇが｣


冷や汗。


ま、マジで…？


え…杏奈、他の男んところ行ってたらどうしよ。


嫌われてたらどうしよ…？


酔いが冷めていって、寒気までしてきた。


グラスの氷がカラン、と音をたてる。


しばらく、俺は何も言えなかった。


そんな俺とは逆に、大樹は酒頼みまくってる。


カシオレとか飲んでる。


やっべ…今すぐ帰って美咲んところ行って告白するべき？


でもそんな理由で美咲に告白するっておかしいよな…