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煮詰めたシチュー
第10章 雑記 哀しい病
   
あの頃、私達夫婦にとって大変辛い時期でした。
同じ悲哀を有して夫婦が慰めあうというのはとても難しいもので、お互いに泣きついていけないものなのです。

私と一緒にいることが妻に哀しい追憶をさせているのではないかと、心のどこかで妻と別れることを決めていたように思います。

妻も同じような罪悪感にさいなまれているのは手に取るようにわかりましたし、どちらかが切り出せばいつでも離婚していたと思います。
私には妻がそう言ってくれるのを待っていたところがありました。



   
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