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第5章 たとえば、その夢が叶ったとして

ある程度片付けが終わった頃、若葉の唇が微かに動いた。

「……嫌いだ」

かすれた言葉に、俺の体が固まる。

「しゅーちゃんなんて、大っ嫌いだ……」

若葉は反対側を向いて体を丸めてしまう。
細い肩が嗚咽に震えていた。

その言葉には、憎しみよりも、痛々しさの方がにじんでいた。

「はは……」

――そんなの、望むところだよ。

そう言おうとして、うまく笑えない自分に気づいた。

どうしてだろう。
好きになってもらえないなら、嫌われても構わないと思っていた。
深く、深く自分を刻み付けられれば、それでいいはずだった。

それなのに、現実に拒絶の言葉を突きつけられると、こんなにも胸が痛む。