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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第5章 たとえば、その夢が叶ったとして
すすり泣く声を聞きながら、俺は部屋を後にした。

若葉の家を出て、ドアを閉める。
マンションの通路で、俺はずるずるとしゃがみこんだ。

目から熱いものが零れていた。

どうして俺は泣いているんだろう。

傷つけられたのは若葉の方だ。
俺に泣く権利なんかない。

それなのに、どうして。




 
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