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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第6章 傘ふたつ
「若葉は俺だけど……」

まだ警戒心の残る俺は、控えめな声で返事をした。

「はぁ?」

苺香と名乗った女の子は、大袈裟に目を見開く。

「他に柊の周りで同じ名前のヤツはいないの?」

「たぶん、俺だけだと思う、けど……」

あんまり自信はない。
しゅーちゃんは俺の知らないところでこの子と知り合って、ああいう関係になっていた。
他に同じような子がいないとも限らない。

「マジか……」

苺香さんは何やら苦い表情で俺の顔をしげしげと眺めている。
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