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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第10章 虹が笑う
ふいに、しゅーちゃんが呆れたように言った。

「今まで俺がしてきたことって……」

俺は清々しい気分で笑った。

「俺たち、馬鹿だね」

しゅーちゃんも白い歯を見せる。

「そうだな」

お互いに空回って、遠回りして。
傷ついて、泣いて。

蓋を開けてみればこんなに簡単なことだったのに。

俺たちは自然と抱き合っていた。

一晩中雨に打たれていたしゅーちゃんの体は冷えきっていて、そこに朝の風が当たって余計に冷たい。
でも大丈夫。
俺の体温を分けてあげる。
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