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花に酔う
第2章 月下美人
――今日も、いつのまにか夜は深まり。
もうあなたが来るはずのない時間になっていた。
窓辺に立ち、カーテンを開ける。
月の美しい夜だ。
深く、長い溜め息が零れる。
いつあなたが訪ねて来るか分からないから、僕はここを離れられない。
あなたが僕に会いたいときに僕が応じられなければ、あなたにとっての僕はきっと存在する意味がない。
どこにいてもあなたから連絡があればいつもそっちを優先する僕を、誘ってくれる友達ももういなくなった。
それならそれでいいと思えるほどの、僕にとってのあなたの存在。
それは一方的な関係――――。
……僕があなたに会いたくても、それは無理な願いなのに。