この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
花に酔う
第4章  椿 * 


そう呟くと同時に、庭から入り込んできた風に揺れた君の髪。
それに誘われるように、僕も指先で梳いてみる。
畳の上に置いていた椿の花を耳の上に飾った。


それは幼い日の記憶と重なる。


あどけない笑顔で髪に近づけた白い花。
『かわいい?』と口にする君――――。



「――――っ……」



……もう、君はいない。
この世界から消えてしまった。


は……、と苦しさを逃すように大きく息を吐けば
急激に襲ってきた、激しい喪失感。


止まらない震えを押さえるように
愛してた、と呟いた。
これからもずっと愛してる、と。

聞いてくれる君がいない今
それはもう……ただの独り言でしかない。


それでも――――。


君のためにずっと生きてきた。
僕のすべてが君と共にあった。
それはこれからだって変わらない。
僕はずっと君への想いを抱いたまま……罪を背負い、そうやって生きていく。
君を、これからも愛していく。


そっと寄せた唇。
もう応えてはもらえないその口づけ。

持っていかれた僕の心。
もうここにはないはずなのに何故かひどく痛む。



……こんなにも今日は空が真っ青なのに
君を喪った僕の心がそんなふうに晴れ渡ることは、もうきっとないんだろう。



それでも。腕の中の君に
その、亡骸に誓う。



『ありがとう』



……君の声が、聞こえた気がした――――。





          f i n .






/129ページ
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ