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藤の舞
第13章 買い物
年齢も体格も違う三人は、防音室の椅子に三方に座る。僕が裏口から正面に腰掛けた。

皆、奴隷の戻りを心待ちにしていたが表面上は白衣を着て紳士を装っている。

カチャッ…

「ただいま戻りました。」

診察室でなくこちらにいることに驚いたようだが、
もう午前中の診療時間は、とっくに終わっているのだ。

「ずいぶん遅かったが、買い物は?」

「あ、あ…」

来客に戸惑う奴隷。

「買ったものを忘れたのか?子供じゃあるまいし…」

客に頭を下げたあと、

「ここにあります。」

小さな声で答える。

「見えないが?
見せてもらうおうか…」

「あの…ここにあります…」

スカートの裾を押さえて奴隷が答える。

「僕は見せてもらおうか?と言ったが?
早く見えるようにしなさい。」

厳しく言うと、

「失礼します…」

客に詫びてボタンを上から外し始めた。


客は黙ってその様子を見届ける。

僕は『買い物に出かけている。』ことだけ伝えてあり、奴隷に起きていることは説明していない。

突然、ボタンに手を掛けた奴隷に、唾を呑む客もいた。
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