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藤の舞
第15章 誘惑
「貴方も飲んだら?そして飲ませて?」

寝そべったまま言えば、男が蓋を開け、音を立てて飲む。

そのたびに動く喉仏を眺めていた。

頬に水を溜めて男が近づいてくる。

アタシを下に四つん這いになってくる。

この男には、理由が必要なのだ。
女を不可抗力で抱いたという…

目を閉じて待つと、そぉっと唇が触れる。
キスではない、酔って怪我をした女に水を飲ませるだけだ。

唇を薄く開くと、ぴったりと合わせられ、水が流し込まれる。

コクコクと飲み込むタイミングを見守り、また水が流し込まれた。
すべて飲んだ後、自分の唇を舐めるようにして、男の唇を舐める。

ピクッと反応した後、唇が離れた。

「もっとちょぉだい?」

上体を起こして男に近づきねだる。

男も体を起こし、水を含みまた近づいてきた。
唇が触れ合う。
先ほどより慣れて、水を流し込むのに合わせて唇を食まれる。

開いた口端から溢(あふ)れたかのように水を少し溢した。

飲み終えて男の唇を舐めると、男も舌を伸ばしてアタシの舌を追いかける。

覆い被さってきて、背中がシーツに着く時には、
水も無いのに唇は離れず、互いの舌が互いの口内を行き交っていた。
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