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泡のように
第7章 6.
 やっと自分的に納得のいく返答を得られたらしく、先生はニヤッと笑った。
 文系男はこれだから面倒だ。
 正確には先生は高校までラグビー部だったんだから体育会系のはずなんだが、最終学歴で人の性分も変わるのだろうか。

「じゃあ逆に聞くけど、先生は私のどこがいいなって思ったの?」

 苦し紛れに過去2年間で100回以上返答を得てきた質問を再度してみた。

「山岸?そりゃあお前、ちっさくて細せぇくせにものすごい巨乳でムチムチしててウソみたいに肌が白くて、なんしか可愛かったからだよ。大人しくて地味だし愛梨みてぇにベラベラ人に喋らなそうだったし」

 100回以上聞いたセリフだから今更何とも思わない。慣れとは恐ろしいものだ。
 ねぇ今の、江國香織風に言ってみて。とか言ったら先生はどんな顔をするだろうか。必死で笑いを堪える私の傍らで先生は天井を見つめながら話を続けた。

「でも今は、山岸の一途なとこが好きだよ。素直で物を欲しがらないし、料理も上手だし、すげぇ家庭的じゃん?俺にはもったいない女だよ。俺なんかでいいのかって、最近よく考えるんだわ」

 深夜12時を過ぎたら成人男性もテンションがおかしくなったりするのだろうか。シラフなのに、こんなことを言い出すなんて。予想外の発言にすっかり戸惑ってしまった。

「え、いや、あの、料理なんて全然」
「この前煮物かなんか持ってきてくれただろ。うまかったぜ」
「あれは・・・」

 ただ、クックパッドで見かけたニンジンをハートに型抜きしたナイスでオシャンティな煮物のレシピを真似して張り切って大量に作ったものの処理に困って「愛情手料理持参したのウフフ」と見せかけて先生に押し付けただけのことだ。ダシは無論ホンダシで、一緒に炊いた鶏肉なんかは冷凍庫の奥で半年くらい眠っていたやつだ。

「靴下だってさ、最近の奴は爪先が破れたら普通ポイするのに、山岸はちゃんと縫って穿いてるだろ。物を大事にするっていうかさ、こないだだって俺のパンツの破れ、縫ってくれたろ。家庭的な子だなって感動したんだ」

 昨今では貧乏性なだけで家庭的な女性と捉えてもらえるらしい。いい世の中だ。

「それにさ、ラグビー部のキム、あいつ。いっぺん俺、お前らがあんまり親しげだから勘繰ったことがあったろ。そしたら全然喋んなくなって、俺だけに一途でいてくれてるって嬉しかったよ」
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