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§ 龍王の巫女姫 §
第2章 峭椋村の巫女姫

男の店先に置かれた横広の蒸し器から湯気が立つ。蓋を開ければ、中に白くて艶のある饅頭という食べ物が整って並べられていた。

「ほぅら旨そうだろう?ひとつぐらい食べていきなって!」

大男は自慢気に勧めてくる。


「……っ」

どうしよう

見てしまったらもう我慢できない…!!


まだ夕刻には早いけれど…


“ ひとつぐらい、許されるわよね? ”


「村長…っ、お許しください」

いない者に向かって謝りながら頭を下げる。




「あの…ひとつだけなら…」

「おお!いいねぇ!よーし待ってな」

意を決して男に告げた彼女は、蒸し器から出されたほくほくの饅頭が小皿にのせられる様子を浮かれる気持ちで見ていた。


「熱いから気ぃつけな」

「──あつッ…、……わぁ 美味しいわ!」

言われたそばから口をつけた女は、次の瞬間には顔をほころばせ満面の笑みを男に向けていた。


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