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§ 龍王の巫女姫 §
第14章 湯に溶ける甘い蜜

「何もしないよりは " マシ " かもな、やってみろ」

「……む」

取り敢えず水鈴に背中を向けたものの、彼は期待していない様子──

水鈴の中にメラッとくるものがあった。


“ 肩ほぐしは得意なんだからっ ”

峭椋村にいた頃は、御堂に訪れる人達に揉み療治を日常的にしていたのだ。

下駄職人のお婆ちゃんも…牛飼いのおじさんも…みんな上手だって褒めてくれた。

力は無いかもしれないけれど…っ

あなどってもらっては、困ります。


「…ん…っと」


炎嗣の左肩に手を置く。

そこから首へ盛り上がる筋肉を指圧しながら動いていくと、揉みやすいように彼は首を右に傾けた。


手首に力を入れて……

グッ グッ と押してほぐす。


“ やっぱり張ってる…こんなに固い ”


「…どうです?」

「ああ…、なかなか心地いい」


予想に反して、彼が認めてくれたから


「…よかった」


水鈴もまた素直に嬉しく思えた。



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