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§ 龍王の巫女姫 §
第14章 湯に溶ける甘い蜜

ピタリと動きを止めて、炎嗣は不服そうに彼女に問いかけた。

「…なんだ」

「…ッ…ごめんな、さい、…あの…っ、怖くて」

「──…」

「…薬がないと…わたし、ちゃんと入るか、自信がなくて…!!」


“ 薬…──? ”


「媚薬のことか…」


理解した炎嗣は溜め息をついた。

制止したことで彼の気分を害したと自覚する水鈴は、押し黙って震えている。


…処女を失った夜も
それから続いた毎夜の伽( トギ )も

媚薬の効果で姦通の痛みはまったくなかった。


けれど彼のモノは目を見張るほどの大きさで…

媚薬もなしに受け入れたら、いったいどれだけの痛みが襲ってくるのだろうか…。

それは初めての女なら誰しもが抱く本能的な恐怖だった。


「…ハァ…っ、ごめんな、さい…」


この身体の熱が、痛みに負けて冷めてしまったらどうしよう。

本格的に痛がって、彼を興ざめさせてしまったらどうしよう。


「──…それほど怖いのか…」


「……そ…、ゃ、大丈夫…です…!」


自分を襲う我が儘な恐怖に

自然と涙がたまる。


「…ハァ…世話のかかる女だな」


突き放した物言いとは裏腹に、炎嗣はそんな彼女の背中を優しくさすった。



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