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§ 龍王の巫女姫 §
第15章 白梅の精

「そうだ水鈴様。せっかくじゃ、陛下とご一緒に飲まれてはいかがですか?」

「…炎嗣様と?でも──」

炎嗣は今、公務中だ。
せっかく王宮から離れているというのに…。

ちょうど離宮の執務室で、馬に乗って来た使いの者と話をしている。


「彼はお仕事中で…」

「だからですよ。こんなしわくちゃの婆さんがお持ちするより、水鈴様の方がよほど喜ばれる」


ガハハと笑った老人を、隣で老婆が睨んでいる。

水鈴はすぐに否定した。

──そんな言葉は仲が良い故の冗談であると、承知の上であるけれど。


「行ってきなされ…。昨日ついたばかりの餅菓子もありますよ、それも持って」


「…じゃあ、そうするわ」


二人の提案に頷き

水鈴は自分の身だしなみをもう一度整え始めた。




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