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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく


好き

たった二文字…水鈴にとっては罪深い。


「ごめんなさい…っ」

彼女は花仙から離れようと、もう一度彼の胸を押した。


本当はぎゅっとしてほしい
優しく髪を撫でてほしい

でもそれは言えない。


花仙は優しい人だからきっとお願いしたら聞いてくれる。だから言っては駄目。



「じゃあ、ね…」


触れあっていた身体と身体が徐々に離れていく。

前に回されている花仙の腕をとって、そっと外す。




「──…二度目、か」


「……?」


すると、花仙は逆に彼女の両の手を纏めて掴み、強く握った。



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