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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女

歳は自分と同じくらいで、薄墨色の長髪の男──。

水鈴を抱えるその男もまた、炎嗣の姿に気付いているようだ。

此方に向かって歩いてくる──
炎嗣も同じく近付いた。


そして二人は数歩の距離をおいて立ち止まる。


「──…お前、…見覚えがある」


先に炎嗣が口を開いた。


「…お前が花仙だな」

「…、──いかにも」


火に包まれた峭椋村で、水鈴とともに捕らえた男。

全身に傷を負い息絶えようとしていたところを応急処置で命を繋ぎ、解放した。

都から離れたこのような場所での再会など、想定外だ。


「水鈴を連れ戻しにきたのか?」

「…まさか」

「…ならこの状況は何だ。説明しろ」


抱えられた水鈴に目を向ければ、彼女は意識を失っていた。

それも踏まえた上で、炎嗣の問う声は花仙に圧をかけていた。



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