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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女


原因があるとすれば間違いなくあの男だ。

“ 何をした? ”

炎嗣の顔が険しさをおびる。
そして診察後の医官を追い出そうとした。

「今日はもういい、部屋から出ろ」

「しかしですね…」

けれど医官もすぐには下がらない。


「陛下はあれから付きっきりで、ろくに食事をとられていない。どうか水鈴様は私たちにまかせ、しっかりと食事を…っ」

「俺は食べたい時に食べるだけだ」

「お身体にさわります」

「水鈴は…──」


寝台の横に運ばれている、病人用の粥( カユ )に炎嗣の目がいった。

その粥は当然のように手付かずだ。


「水鈴は飯を食べなくて平気なのか」

「…今のところは、まだ…─、しかしこのまま長引けば少しずつ身体が弱っていくことになります」

「だろうな」


そうして水鈴に目線を戻した炎嗣を見て、医官はとうとう諦めて命に従い部屋を出た。



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