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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女

その日も、ただひとり離宮まで供していた医官が、水鈴の診察を終えて首を振っていた。

「お目覚めの気配がありません…」

寝台上の彼女から離れる。


「視診をしても血圧を確認しましても、なにひとつ異常は見当たらない…っ」

王都一の腕利きと言われる彼も困り果てていた。

水鈴は何か病にかかっているわけではない。
なのに──目を覚まさない。


ただ彼女は深い眠りの中にいる、今はそれしか言うことがない。


「──…毒をもられた可能性は?」

隣の炎嗣が医官に問うた。


「わたくしめの知りうる限り…その可能性は、ないかと」

「…そうか」


中途半端にもぐもぐと喋る医官に、炎嗣は冷静に相づちを打つ。



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