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贄姫
第5章 伍


瓊乱の性液を口に入れた瞬間
みるみると抗えずに疼き出す身体。
椿は瓊乱を見やる。


「お前、その刺青のせいで、性欲を増大されてる。
処女で、おまけに痛いし嫌なはずなのに
こんなになるってことは…。
俺と交わした契約以上の力だ」


立てと言われて椿は無理やり立たされる。
すると、椿は朝起きた時に感じていた若干の体の痛みさえ消え
今から10キロのマラソンをしても大丈夫なくらいの気持ちだった。


「もう、苦しくはないだろ?」


それに、椿はうなずく。
そして驚いた。
あんなに苦しかったのが嘘のようだった。


「やっかいな呪いだな。
呪った妖を存分に恨めよ」


「なんなの、あたしって…。
嫌なのに、勝手に身体が、反応して…。
脳までおかしくなったみたいに、ぼうっとしちゃうし」


椿は下を向いた。
お腹の痛みはなくなり、まるで何事もなかったかのようだった。


「なんでなの…」


その問いに、瓊乱は肩をすくめた。
そのあまりにも人間らしい仕草に、椿がぽかんとする。


「俺には、何も。
だが、一つ言えることといえば
この刺青の呪いによってお前の身体も心も縛られてるってことだな」


瓊乱は椿を覗き込んだ。


「お前には悪いが、その呪いはまだ解けそうにない。
もう少し様子見だ。
お前にも俺にもわからない何かの力が働いているんだろう」


そう言って瓊乱は立ち上がると
椿の顎を持ち上げて妖艶に覗き込む。


「真相がわかるまで、お前は俺にだけ抱かれろ」


そう言って落とされた瓊乱の口づけは
それこそが契約であるかのような甘さと
痺れるような絶望感を椿に与えた。
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