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忘れられない指
第17章 終わるための罪
私は・・
孝明の手を取って、腕からはずした。
孝明は、イケない事だったんだと思ったらしく、ごめんと小さくつぶやいた。

「もう・・咲ちゃんの腕をオレがとったりしちゃいけなかったな」

孝明は一人で歩き出す。
後からついていく私は・・
孝明の腕を掴んだ。

一瞬、ではない。
彼の腕を掴んだまま、歩き続けた。

「咲ちゃん?」

立ち止った孝明に私は

「私が孝明さんの腕につかまる・・
 今まで支えてもらうばっかりだったから・・一度くらい自分からつかまりたい・・」

前を向いたまま、気持ちを伝えた。


再び歩き出しながら
私は徐々に彼に体を近づけた。

ひとつの決意を秘めながら・・


「・・私・・なんで孝明さんを選ばなかったんだろうね・・」

またすぐに足を止めた孝明は、今度はなかなか動こうとしなかった。

「凌空さんを選んだことをどうこう言ってるんじゃない。なぜあの時・・
 あなたに飛び込まなかったんだろうって・・」


冷たい空気と風だけが私たちをすり抜ける。
続きの言葉はなかなか出てこない。
何も言わず、彼の腕を掴んだまま、私が歩きだし
それに孝明がついてくる形になった。
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