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忘れられない指
第6章 先が見えない・・
凌空の向こう側から身を乗り出して、史彦は軽い抗議をしてきた。

「だってぇ、史彦さんも完全に寝ちゃって凌空さんと2人で転がっちゃってたし」

そう言われて反論の余地はないと、史彦は首をすくめた。

「ところで・・孝明さんは?」

さりげなさを装って、何気ない雰囲気で聞いてみたが、
正直、心臓は破裂しそうだった。

「うん、もう来ると思うんだけど・・なんか忙しそうな事言ってたからなぁ」

答えた凌空の表情を、探るようにして見る。
まさか、あの事を話したりはしていないだろうが・・
今見る限り、凌空は知らなそうだ。
眼差しも声音も、特に変わったようには見えない。

「そうなんだ・・」

そっけなく返事をしてから凌空の隣に座った。


「マスター、今日はまずビール!」

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