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第5章 命の終わり

私が使い捨てのビニールエプロン、ゴーグル付きのマスク、手袋を着けてから、カーテンの中に入ると、中では酸素マスクを着けた男性がベッドで横になっていた。
私が継続受け持ちとして担当する仁木秀雄（にき・ひでお）さんは、八十二歳の高齢男性だ。
併設の特別養護老人ホームで車椅子に乗って過ごしていた仁木さんは、肺炎で一年前に入院したが、肺炎が改善しても、食事をする意欲がなく、内服も出来なくなり、状態はどんどん悪くなった。
入院中の検査で痰から多剤耐性菌とＭＲＳＡが検出され、感染対策として数ヶ月前からカーテン隔離をされている。