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MY GIRL
第11章 それぞれの過去
「そ…んな」

「…」

「俺、美咲の記憶思い出させちまったって事じゃ…」

「…そうなるな」

「…なりますね」

思い出したくないのなんて当たり前だ。

なのに俺は、自分の事しか考えずあんな…

問い詰めた時の尋常じゃない位震えた美咲の肩。

「…あ、高宮先輩…」

矢野に呼ばれて目配せされ、美咲を見る。

「っ…、」

美咲の閉じた目から溢れる涙。

この涙は誰のせいだ?

間違いなく俺のせいだ…

「美咲っ…、ごめん…」

熱でグラグラする頭を堪えて、美咲に謝った。







美咲SIDE


無言の車内。

大樹と目が合っても、気まずそうに逸らされる。

何で?

怠そうにシートに体を預け、反対側の窓の外を眺めてる大樹。

何で…?

お母さんが、何も話さないあたし達をちらちらと振り返って見てくる。

涙がじわりと滲む。

いつもは、3人で色んな話をして、家に着くのがすぐなのに。

今日は、長いよ…







バタン

部屋の扉が閉まる。

自分の部屋に戻るのかと思いきや、車を降りてからそのままあたしの部屋に来た大樹。

けど、何を話せばいいの?

頭の中ごちゃごちゃだよ…

「…、大樹!あの、…っ」

突然、後ろから広くて温かい胸に包まれた。

「…ごめん」

謝られて、びっくりする。

「何で、謝るの…?」

あたし、大樹に何もされてな…

「元彼の…事」

その言葉にあたしの体が反応する。

なお、や…

乱暴されて、傷付けられて、酷い束縛されて、色んな人巻き込んで、突然離れていった…

寒くないのに体が震える。

やっぱり思い出すのは、あの日の事。

目の前で、血だらけで…

「…っ!嫌ぁぁっ!」

思い出して叫んだあたしを強く抱き寄せる大樹。

「美咲」

名前を呼ばれ、力なく顔を上げた。

凄い傷付いた顔…

「そんな酷い奴だったのか?」

そう聞かれて、小さく頷く。

楽しかった時もあった。

けど、辛い時の方が多すぎて、楽しかった思い出は殆ど思い出せない…

「酷かった。…怖、かった」

泣きそうになり、俯いて小さく呟いた。

周りから見たら、あたし達はラブラブなカップルに見えたかもしれない。

でも…全然違う。


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