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第29章 つなぐ想い

「モデルさんがいいからだよ。なんかこう……前向きになれるような、元カレとヨリを戻したくなるような……そんな髪型にしてみましたっ！」

さっきまでのしかめっ面が嘘みたいに明るく笑ってそう言う石塚さんに、後ろで鏡を持ってくれてる春菜さんと私は同時に吹き出した。

「それって前向きなんですか？　あ、でも……確かにスッキリした気持ちになったかも」

私の言葉に、石塚さんはとっても優しく微笑んだ。
元気付けようとしてくれてるんだよね……

確かに少し元気になれたけど……でも内心では、こんなにキレイにしてもらっても大好きな人に近くで見てもらえないなんて……何の意味があるんだろう、なんてちょっと切なくなってしまう。

でも私は、そんな気持ちは決して悟られないようにと……
笑顔で、お店を後にした。

これから私はどうしたらいいんだろう……
何かが分りかけてるような気がしたけど、その答えはまだまだ見えていなかった。