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秘蜜に濡れて
第10章 suger&spice
連日のスタジオリハーサルと体力作り。

バイクマシンに負荷をかけながら漕ぎまくると、横に並ぶメンバーの意地の張り合いになる。

こめかみから頬を伝い、顎の先から汗がポタポタと落ちた。

インターバルは3分。

再びバイクマシンを漕ぐ。

「撥春、博嗣さん来てるけど」

健一がドアから顔を覗かせると、撥春は汗を拭って部屋を出て行った。

「撥春!お疲れ」

ロビーで手を挙げる本間 博嗣。

「メールで貰ってたやつの試作品、持ってきたんだ」

傍にあったボディバックからそれを取り出す。

布に包まれていたそれ。

「うわ、想像以上だな」

赤いレザーで作られたキーカバー。

キーホルダーの鎖の部分には小ぶりのチャームが3つとタッセルが付いていた。

「これで試作なの?」

「んー、レザーの色目とか確認せずに作ったから」

「いやいやいや…これで充分完成形だし」

「そう?まぁ改良しちゃうと、この世に一つじゃあなくなるけど」

「これが良い!」

手の平に載せて眺める。

「ふーん、どハマりしてるってそういう事ね」

頬杖をつきながら、にんまりと笑う博嗣。
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