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ジェミニの檻
第10章 流星
「文句言うなら、食うな」

対面キッチンのカウンターに座り、二人の調理をじっと見つめる志貴。

「で?纏めたら揚げるんだっけ?」

「うん、油オッケーだよ」

「待て!油の温度は計ったのか?それに、小麦粉は?なんで成形してすぐ卵なんだよ?」

「小麦粉は…省略?」

「ばっ…するな!レシピの意味がないだろーが!」

見兼ねた志貴がキッチンへと割り込んで来る。

「由岐は小麦粉、六花は卵!」

テキパキと指示を出し、こんがりキツネ色のちゃんとしたコロッケが出来上がった。

「美味しー!コロッケだー!」

「旨っ!やっと成功だな!」

「ちゃんと作れば分解するはずはない」

「お前、揚げただけじゃん!」

由岐と志貴の言い合いを六花はニコニコしながら見つめていた。

和やかに進んだ夕食が終わり、志貴は部屋に戻っていく。

カチャカチャと音を立てて食器を洗う。

「あ、デザートのロールケーキ出す前に、部屋に戻っちゃったね」

冷蔵庫のロールケーキを思い出す。

「後で持ってってやるか」

流れ作業で洗い物を片付けていく。
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