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ジェミニの檻
第10章 流星
お皿を洗い終えるとロールケーキを切り分けた。

「呼んでくる」

由岐がキッチンを出て行くと、六花はその後ろ姿を見送った。

穏やかに幸せな時間が流れていることに六花は満足していた。

明日に迫った由岐の合宿と六花の天体観測にも、少しの不安も感じていなかった。

「志貴、いらないって」

「えーいらないならもうちょっと大きく切れば良かった」

「…二個食えばいいじゃん」

そう、こんな些細なやりとりですら、六花は笑顔を浮かべる事が出来た。

帰り際、六花は志貴の部屋を訪れた。

「天体観測の日、待ち合わせの時間と場所…」

机に向かっていた志貴はくるりと椅子を回した。

「7時半に駅前のロータリーだろ?」

「うん!じゃあね!」

六花はうきうきと帰路を辿った。



翌朝、由岐もまた学校からバスに乗って、一足早く出発していた。

行ってきますのメールをロータリーで受け取る。

「え?もう出発したの?早いね」

えれながメールを覗き込む。

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