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ジェミニの檻
第10章 流星
澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。

「んー!気持ちいいねぇ!」

大学生たちは手慣れた手つきでタープやチェアーを組み立てていた。

そこには志貴も混ざっていた。

「女の子は夕飯の準備しとこうか!足りないものも買い足しに行きたいし」

六花とえれなはお姉さんたちに着いていく。

「ねー志貴くんって彼女いるの?」

野菜を刻みながら、六花は顔を上げた。

「た、ぶんいないと思います」

「イケメン過ぎて敬遠されちゃうのかなぁ?」

タープを張る志貴を見つめるその瞳はどこか熱っぽさを感じる。

「あ、私、佳織ね、久保田 佳織、よろしくね」

ふんわり巻いた髪をクリップで無造作に留め、ハーフパンツから伸びる脚はしなやかで、カットソーからもしっかりと膨らみが主張していた。

「そっかー、彼女いないのか」

再度確認するかの様に繰り返す佳織。

その瞳は獲物を狙う猫のように妖艶に見えた。

六花はそっと自分の胸を見つめる。

佳織みたく押し上げてはいない事に気持ちが沈む。

「六花ちゃん?」

佳織がいつの間にか覗き込んでいた。
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