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ジェミニの檻
第11章 Subtle shift
合宿が終わってすぐの夏の大会。

由岐の学校は準決勝敗退で幕を閉じた。

その時は落ち込んでいた由岐だったけれど、二年生という事もあってか直ぐに来年を見据えて動き出していた。

六花との約束も忘れず、大会直後の週末はプールに行ったり、映画に行ったりと満たされた日々を送っていた。

クーラーの効いたリビングでサボっていた夏の課題のツケを二人して必死に取り戻す昼下がり。

「英文が呪文に見えたきた…」

先に根を上げたのは由岐だった。

汗をかいたグラスを持ってキッチンに消えると、新しいアイスティーを手に戻ってくる。

たったそれだけでも気分転換にはなるのかもしれないが、グラスが空になる度に立っているので、効率は悪かった。

由岐は自分の家だから好き勝手動き回れるが、六花はひたすら課題と向き合ったままだった。

単語は何とかクリアしたものの、英文法という最大の山が待ち構えていた。

「俺、間接疑問文とかマジ、無理…」

六花も激しく同意した。

シャーペンを指先で弄ぶだけで時間が流れていく。

「ただいま」

リビングに繋がるドアから志貴が顔を出した。
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