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ジェミニの檻
第11章 Subtle shift
「お帰り、早かったな」

「まだ課題のやってんの?明後日から学校だぞ?」

「もう終わる!」

「その数Ⅱは終わってるのか?」

「直ぐ終わる!」

呆れた表情を隠しもせず、シャワー浴びるからとドアは閉められた。

あの天体観測での告白の後、由岐の大会で遠目に姿を見て以来の志貴だった。

どうやってみんなの元に戻ったのか覚えていない。

繋がれたままの手を振り解く理由も見当たらず、千々に乱れた心内を一人抱えて、えれなを始め皆んなに心配を掛けた。

当の志貴からはそれから何の連絡もなかった。

今見た志貴は真夏の一番暑い時間帯に帰って来て額からは汗が流れ、制服の開襟シャツを濡らしていた。

「六花?」

「あ、ごめ…由岐くん、スマホ鳴ってる」

ブーブーと震える画面に表示されたのは渉だった。

「もしもし、どーした?え?リーダーと日本史のノート?まー人並みに読める程度にはとってるけど…は?今から?定期は?…バカだな」

一通り話しが終わると、通話口を押さえて由岐が六花に向いた。

「渉がノート、コピらせてっていうんだけど、行ってきていい?」
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