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ジェミニの檻
第11章 Subtle shift
「何問進んだ?」

いつの間に背後に立っていたのか。

「…に、もん…」

眉を顰めて隣に座った志貴は目に付いたシャーペンで、英文を指す。

「ここはスペル違い、間接疑問文は他の文と疑問詞+主語+動詞だろ?この問題は何が違う?」

「isが後ろ?」

うんと軽く頷く志貴、六花はそうかとすぐに次の問題に手をつけた。

「疑問文の内容に関係なく、Yesの後は肯定の内容、Noの後は否定の内容が続くから、この場合は…」

志貴の解説よりも、シャワージェルの香りが鼻腔を擽ってとても頭に入って来ない。

スマホの時計は由岐が出て行って30分程しか経過していなかった。

「聞いてるのか?」

「う、うん、えっと、進行形に、する…」

志貴はメガネ越しにじっと六花を見つめる。

「ちが、う?」

「…あとは一人でやれ」

視線を外して立ち上がる志貴のTシャツの裾をくんっと掴む。

「何だよ?」

「…ごめ…い、い…」

手を離して、課題に向きを変えた。

「由岐が帰って来たら、普通にしてろよ?」

えっと顔を上げると、くっと顎を掴まれたかと思うと、次の瞬間には唇が重なっていた。
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