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ジェミニの檻
第12章 優しさの使い方
はぁはぁと乱れた呼吸のままずるずるとその場に崩れ落ちる。

余韻が脚を痙攣させていた。

由岐の胸に抱かれながら、六花は脱力した身体を預ける。

「六花、めちゃめちゃイヤらしくて、可愛かった」

ちゅっと米神にキスを落とす。

「…もぉっ…」

真っ赤に恥じらいながらも、唇へのキスを強請った。

「六花、好き、誰よりも」

髪に顔を埋めて囁く由岐の声は…志貴の輪郭を濃く浮かび上がらせる。

六花は由岐の腕の中でそっと目を閉じていた。








新学期が始まり、テストが終わる頃には校内は浮き足立っていた。

週末には一般公開が控えているため、準備に余念がない。

暗幕や木材、音響機材が貸し出され、買い出し班は担任の車を足代わりにあちこち引っ張り回していた。

六花のクラスも例外に洩れず買い出し班が両手一杯に資材を抱えて戻ってきた。

「おーメイド服!」

女子が総出で黒のワンピースをフリルとレースで改造し、白のエプロンを重ねればなんとかメイド服っぽくなった。

執事は制服のズボンと白のシャツにカフェエプロンを着けるだけの簡素なものだが、これもそれらしく見えた。

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