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ジェミニの檻
第12章 優しさの使い方
まだまだ陽が長いとはいえ六時半を回ると、教師達から帰宅を促す声が上がる。

「六花、今日は由岐、待ってるの?」

「ううん、部活あるっていってたから」

「なんか食べて帰ろ?」

鞄を手にすると、階段を下りていく。

「志貴!まだ帰らないの?」

「もう帰る…かな」

歯切れの悪い言葉で、クラスメートらしき数人と目配せをする。

「何なに?」

「あー…今夜プールに忍び込んで前夜祭するんだよ」

「えーっ?プー…っ!」

がばっとえれなは口を塞がれる。

「声がでかい!」

こくこくと頷くと、手が外されえれなは確認する。

一度校舎を出て腹ごしらえと買い出しを済ませたら、プール用の更衣室の裏手のフェンスを乗り越えて侵入するとの事。

「当直の先生は?」

「土曜出勤の代わりに今夜は無いらしい」

志貴の代わりに隣に居たクラスメートが答える。

「どっからそんな情報を…さすが特進…」

「来る?」

「いいの?」

えれなと特進科の数人で話しが纏まっていく。

「リサたちも呼んでるし、いいんじゃね?」

「六花、行こーよ!楽しそうだし」

「えっ…あ、うん…」

「じゃあ、後でな」

すれ違い様に志貴が六花の頭を撫でていった。
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