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ジェミニの檻
第13章 noreason
「望月さんは?」

「渉が引っ張ってった、なんか責任感じてるらしい」

六花は肩をすくめると由岐に手を繋がれて教室を見て回った。

「六花ちゃん!」

振り向くとそこには佳織が一人、立っていた。

「麻央知らない?なんか役目は終わったとかってメールがあって、クレープ食べてるらしいんだけど」

「クレープ出してるのは1-2と3-5なのでその辺りかと…」

「そっかー」

佳織は遠くを見つめてメールを打つ。

顔を上げると、じっと由岐を見つめた。

「由岐、くんだっけ?自慢のオニーサンなのね、私は志貴くんの方がいいかなぁ?」

「志貴、今フリーですよ?」

「うん、さっき迫ってみました」

佳織はにっこり笑うけれど、六花は俯いて唇を噛んだ。

「志貴くん、いー男だよね、君も双子だもん、どっちがいーかな?同じよね?」

「違いますっ!志貴は…二人は全然別の人です!」

言い切ってすぐはっと息を呑んだ。

「そう?六花ちゃんは本当彼を好きなのね、やっぱコーコーセイは可愛いわね」

佳織の揶揄うような口調に六花は苛立ちさえ感じていた。

「麻央と落ち合おうかな」

スマホを鞄に仕舞うと六花の横を通り過ぎていく。

「で、六花ちゃんは誰を思い浮かべたの?」

佳織の密やかな一言に六花は胸を詰まらせた。
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