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ジェミニの檻
第13章 noreason
「全然違うって言ってくれて、嬉しかった」

店で買ったカキ氷を中庭で食べながら、由岐は六花に微笑む。

「双子だからさ、似てて当たり前なんだけど、俺を一人として見てくれて…やっぱ嬉しい」

「そんなの…当たり前だよ…」

由岐の真っ直ぐな視線が今は痛い。

佳織の言葉を返した時、浮かんでいたのは確かに志貴だった。

迫ったと聞いた時、嫉妬が渦巻いた。

今も、志貴の元へ行って確認したいことだらけだ。

「六花、明日さ、遠征なんだ、ごめん」

「ううん、何時に出るの?」

「6時半学校出発」

「相変わらず早いね、明日はゆっくり寝よっかな」

「ん、じゃメールは昼にする」

目を合わせてクスッと笑い合う。

「由岐!」

渉を振り払う様に梢が駆け寄ってくる。

「じゃあ私、そろそろクラスに戻るね、今日は来てくれてありがと」

「うん、テキトーに見て帰るわ」

六花は手を振り、渉と梢に頭を下げてから教室へと向かった。

一般公開は午後1時まで。

「え?衣装チェンジ?」

「もう売り上げ的に客寄せはいらないから、思い出作りってことで」

えれなに手を引かれてトイレでメイド服に着替えた。


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