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ジェミニの檻
第15章 rouge
驚いた志貴。

頬を染める六花。

「痛いの…治った?」

「…はい、治りました…」

視線を合わせて頷くと六花は顔を綻ばせた。

志貴は手を伸ばし、六花の手を握ろうとした時だった。

「お前ら、何してんの?」

志貴の手が空で止まり、六花の肩がびくっと震えた。

ゆっくりと二人はその声の主の方へと視線を移す。

其処には夕闇に溶け始めた…



由岐が立っていた。




驚きの中に怒りの滲んだ由岐。

三人ともが微動だにせず立ち尽くしていた。

「どういう事か…説明してよ」

由岐の声色に六花の視線が地面を迷う。

「偶然なんだよな、六花」

他の答えを許さない断定的なそれに、六花は俯いた。

「ここでする話じゃない、家に行こう」

志貴はあまりにも冷静に答えて、さっさと歩き出した。

迷う六花の腕を由岐は掴むと、引き摺るように強引に電車に乗せ、着いたのは二人の家だった。

''相手のテリトリーはだめ、どんな罠が仕掛けられてるかわからないから''

宗治の忠告が過ぎらなかったわけじゃない。

ただ、この状況で家に入らないという選択は無かった。

玄関のドアの前で心臓が早鐘を打つ。

それは真っ赤な警告だと、どうして判らなかったのか。
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