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ジェミニの檻
第15章 rouge
宗治はコーヒーを一口啜った。

「あとは六花ちゃん次第なんだけど、一応焚きつけた責任は感じてるから、一言忠告を、ね」

ぐっと脚を伸ばし、腕を組むと宗治は変わらない笑顔で口を開いた。

「別れ話をする時は自分のテリトリーでするんだよ、相手のテリトリーはだめ」

「…何でですか?」

「どんな罠が仕掛けられてるかわからないから」

罠?

由岐はそんな人ではない。

六花は宗治の言葉の真意を測りかねていた。

帰路に辿りながら宗治の忠告よりも、何故自分の気持ちが志貴に傾いていたのを気付かれていたのかを考えていた。

スマホがメロディーを奏でる。

画面に表示されたのは志貴。

「もしもし?」

『終わった?』

「ん、もうすぐ駅」

『…見えた』

「え?」

スマホを耳から外し、視線を前に向けると改札の脇に立つ志貴が見えた。

自然と駆け寄る六花。

「ど、したの?もしかして、待っててくれた?」

「待ち過ぎて足痛い、キスしてくれたら治るんだけど」

真顔で見返す志貴の眼差しがすっと細められて、少し屈んだ志貴は指でおでこを弾いた。

「痛っ…」

「帰るぞ」

一言告げた志貴の頬に一瞬のキスをする六花。

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