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ジェミニの檻
第16章 Crafty race
3人掛けのソファーの真ん中に座らされた六花は息を潜めて、やけに響く時計の音を聞いていた。

右側に座った志貴はずっとそっぽを向いたまま唇を結んでいる。

居た堪れない気持ちでそっと視線だけを左に寄せる。

はぁっと溜息を付いて、由岐は口を開いた。

「で、どういう事?」

冷ややかな由岐の声色に、思わず六花は肩を竦めた。

「ただの同級生…なワケないよね」

六花は膝の上で握った手をじっと見つめた。

由岐の顔が視界の端でゆっくりと右側を捉える。

「黙ってれば切り抜けられると思ってんの?」

「…切り抜けようなんて思ってない」

「説明しろよ」

由岐の怒気を孕んだ低い声に沈黙が覆い被さる。

「俺が手ぇ出したんだよ、無理矢理」

「志っ…!」

六花の言葉を遮る様に、志貴はその右手をぎゅっと握る。

「…六花は俺のだって知ってたよな?」

「放ったらかしにしてたのもな」

無言で視線が交わる。

火花が散っているのがチラつく程、緊迫した二人の間で六花は言葉を探していた。

「由岐くん、私…」

じっと見つめる由岐の瞳は怒っているのか、悲しみを湛えているのかわからない。

「志貴は呼び捨てにするのに、俺にはいつまでも君付けなんだね」

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