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ジェミニの檻
第1章 ふたつのくちづけ
「えれな、私ちょっとトイレ…」

「はいはい!あ、渉!行けー!!」

元女子バレー部、血が騒ぐってやつ?

六花はそっと席を立ってトイレに向かった。

額に汗を浮かべながら、必死にボールを追いかける。

バレーボールの事は分からないけれど、一生懸命な姿には心打たれる。

それがイケメンなら尚更だ。

「あれ?ハンカチ…ない…あ!」

自動の手を乾かす機械に手を翳して、トイレを出ると、すぐ先で一人の男の子が立っていた。

180はある背の高さだったが、ユニホームも着ていないし、何よりその手には見覚えのあるハンカチ。

「私の…?」

メガネを人差し指で直して、ハンカチを突き出した。
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