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ジェミニの檻
第1章 ふたつのくちづけ
「ありがとう」

「…お礼は?」

「え?」

「拾ってやった上に届けてやったお礼」

六花は何故か納得してしまい、鞄の中を漁った。

「あの、ありがとう」

アメ玉を一つ差し出す。

受け取った大きな手、長い指がくるりとビニール包装を解き、口に放り込む。

「え?なっ…」

ぐいっと腕を引かれて壁に背中を押し付けられる。

「何で…っン…」

そのまま唇が覆い被さってきた。

甘いアメ玉の味が口内に広がる。

長い長いくちづけに酸素を求めて口を開くと、ぬるりと厚い舌が滑り込んできた。

口内を蹂躪していく舌に、心臓がどくどくと音を立てる。

「…はぁ…っ…」

腰がガクガクして、彼のシャツを握り締める。

「これぐらいにしといてやる」

ペロリと唇を舐めると彼は身を翻して、離れていった。

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