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ジェミニの檻
第4章 ビタースィート
六花はシンクの端を握っていた。

「六花、ほら、こっち向いて」

顎を持って顔だけ振り向かせると、唇を重ねた。

啄むだけのキスがもどかしい。

「はい、お終い、洗い物しよ」

突然、服から手も抜かれた。

身体の奥底に灯った火が行き場を失くす。

「あとで、ね?」

六花は耳まで真っ赤にして、洗い物に戻った。

片付けが済むと由岐の部屋へと向かった。

階段を登って、奥が由岐、手前が志貴の部屋になっていた。

ドアを開けると、青を基調としたスッキリした部屋だった。

「頑張って片付けました」

戯ける由岐。

「何する?音楽聴くかー…」

本棚を見た六花はそれを発見した。

「これ見ていい?」

中学校の卒業アルバムだった。

パラパラと捲ると幼いえれなと渉が写っていた。

二人は1組、由岐は3組。

「…志貴、くん…メガネしてないね」

6組のページに写っていた志貴。

「あー…アルバム委員に取って写ってくれって頼まれてたからなー」

「そうなんだ…」

「区別できやすいように掛けてただけなんだけどな、頭もいいし、いかにもだろ?」

頷きながら、他のアルバムにも手を伸ばした。



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