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ジェミニの檻
第5章 potion
由岐が用意してくれたブランチに志貴と三人でテーブルについた。

「由岐くん、美味しい!」

仄かに甘いスクランブルエッグにクロックムッシュ。

「志貴は無言で食うから、張り合いないんだよな」

嫌味を言っても、志貴は黙々と平らげていく。

由岐と六花の会話も、志貴は混ざらない。

聞いているのか、いないのか。

「志貴、六花バイト始めるんだって!お前も貢献しろよ?」

「うちの学校バイト禁止だよ」

「み、んなしてるもん…」

「口止め料」

志貴と六花にしか解らない合言葉のようなそれに、六花の手が止まる。

「お前なぁ!六花、それ、どうしたの?」

目に止まった手首の痣に由岐が問いかける。

「これは…」

「お前こそよく見てるんだな、寝ぼけててぶつけたんだろ?」

志貴の機転で由岐は納得する。

自分が付けたものなのに。

六花は素知らぬ顔で食事を終えた志貴の背中を見送った。
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