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ジェミニの檻
第1章 ふたつのくちづけ
席に戻ると、試合は3セット目に突入していた。

「遅かったねートイレ遠かった?って、どうしたの?」

「え?何?」

「顔、赤くない?」

「ここ、暑くて…上、脱ごうかな」

誤魔化す為にカーディガンを脱いでみる。

キスして来ましたなんて…言えない。

彼は…誰なんだろう?
選手じゃないのは明らかだけど、関係者なのかな。

辺りを見回してみても、その影はなかった。

そっと唇に触れてみる。

初めてのキスだったのに。

嫌じゃなかった…。


試合はベスト4で終わった。

「ま、一年生だし、こんなもんでしょ」

えれなは大満足で席を立つ。

「?えれな、帰らないの?」

「うふふ、ちょっとねー、この後時間ある?なんか食べに行かない?」

時計は3時を回ったところで、確かに小腹が空いてきた。

「うん、いいよ」

えれなは誰かにメールを送ると駅近くのファーストフードの店へと移動した。
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