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ジェミニの檻
第6章 不安材料
六花はメモを握ったまま宗治の背中を見つめた。

「バイト…やっぱやるの?」

「え…?」

「あんな奴のいるとこで…して欲しくないって言ったら?」

今更辞められる筈もない。

答えに困る六花。

「…ごめん、帰るわ」

引き止める事もなく電車は由岐を乗せて走り去って行った。








バイトの初日、変わらない満面の笑顔で宗治はいた。

ロッカーや挨拶、注文のとり方など一通り教わって談笑する。

「いらっしゃいませ!」

入ってきたその人に六花は驚きを隠せない。

「あれ?エース?じゃない?」

志貴だった。

窓際の席に案内する。

「アイスコーヒー」

「はい」

注文をとって戻ると宗治がまじまじと志貴を眺めている。

「双子なんです」

「ふーん、またえらく違うね」

何が違うのか六花には宗治の言葉の意味を拾えない。

「アイスコーヒーです」

テーブルには参考書とノートが広げられていた。

「天文学に興味あるの?」

六花の背後から宗治が顔を覗かせた。
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