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ジェミニの檻
第6章 不安材料
手を繋いで電車に乗る。

会話のないまま六花の最寄駅のホームに降りる。

「六花、疲れた?」

首を振る。

何か言わなくてはと思いながらも言葉が出てこない。

「六花ちゃん?おー!エースだ」

声を掛けたのは宗治だった。

「…誰ですか?」

「俺、菊池 宗治、六花ちゃんのバイト先の先輩」

「バイト先の?六花、来週からじゃ…?」

「えれなに言われてさー初日えれなと一緒じゃないから、俺が指導係なの」

へらっと笑顔の宗治は空気を読んで、あえてそう振舞っていた。

「で、二人はケンカ中?」

睨む由岐、口の端で嗤う宗治。

「エースも彼女の前じゃただの男の子ってワケだ?」

小馬鹿にした宗治の言い回しに由岐は苛立ち始めていた。

「あんたには関係ないだろ?」

「先輩としてー…」

「ただのバイトだろ?」

「人生の先輩でもあるよ、俺、二十歳だし」

眉間に皺を寄せる由岐。

「六花ちゃん、俺の携帯の番号ね、じゃまた来週〜」

ひらひらと手を振ってホームを下りていく宗治。


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