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初花
第4章 猫柳
ちいさな咳が いくつか
まだ 今朝も聴こえた。

すぐに肩や髪を濡らす
重い雪が降った日に、
灰色の空に 飛んでいた鳥を
暫くみていたらしい。



上女中の 貴子に、葛湯を
作ってやるよう 頼んで出た。
橘の香りをさせる 甘い葛湯は
きっと身体を 温める。


龍に着せてやりたい物が届き
それを手に戻ると「お早いのですね」と
出迎えた彼の目には
今は 拒絶はない。



此処へ連れて来てから
明るいうちには
抱いたことがないからだろうか。

城内の建屋のなかではちいさな
この離れとは言え
あからさまに 昼日中から求めれば

常に 身の廻りに他人が仕えることに
慣れている私には、
それを知られても 羞じる事はないものの
龍が いたたまれないであろう、と思う。



「お帰りなさいませと
言って欲しいものだ」


手に提げていた包みを開け
柔らかな毛皮を 肩に掛けた。


「どうしても 庭に出たい時には
襟元から 肩に それをかけて出るとよい」


猫柳のように
白く優しく光を弾く毛並み…
やはり、よく似合う。


礼を述べようとしてか
見上げた龍の 顎を掴み
言葉を封じるように くちづけした。


咳き込むこともなく それを受け
唇が 離れると、俯いた龍が
「過分な物を戴き…
などと 言いかけたので
私は 再度、くちづけた。

【ただの男妾として 弄びたいのではない。
其方に与える物で 過分な物はない】
それを 伝えたかった。


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