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白い背中と君の藍
第7章 ブラック◆消えて…
◇ ◇ ◇

「――――メ……メグ!  大丈夫?」

朝眠りから覚めるみたいに、真っ暗だった視界に光が射し込んでくる。

耳に届いてくるのは、今一番愛おしくてたまらない人の声。

「う……ん。孝……」

「メグ!!  目が覚めた?」

「……孝秀?」

少し重たい瞼をゆっくりと開いていくと、目の前には心配そうに顔を覗き込む孝秀がいた。

直ぐには頭が働かなくて、暫しぼんやりと孝秀を見詰めていると、徐々に記憶が鮮明に戻ってくる。

「あぁっ!!」

「メグ!?」 

そうだ私、あの女の絵を――――。

慌てて手元を見てみると、包丁は何処にもない。

「私、絵を……あ、れ?」

切り裂いた絵を確認したが一枚も破れてなく、寧ろ綺麗なままだった。

「夢……だったの?」

どうやら絵を八つ裂きにしたのは、私の中の憎悪が見せた『夢』だったようだ。

それで良かったのか悪かったのか……
何とも後味がスッキリしない。

現実は何一つ変わっていないんだ――――。

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